はじめに ~SGLIとは~
この夏 福井工業大学附属福井高校と同附属福井中学校からそれぞれ3名の生徒たちと、1名の引率教員が新たなるグローバルチャレンジとしてハワイ州ホノルルのプナホウ学園で行われている約2週間の研修を含む、Student Global Leadership Institute ( 以下 SGLI) に参加をすることになりました。
このSGLIは、2010年プナホウ学園がグローバル教育を推進するために立ち上げたプログラムであり、世界各国の高校生と、中学生を対象としたものです。世界各国からの参加希望の中で、本学園が参加の許可を得ることができ、選抜された生徒たちは、4月から放課後の時間を利用して事前研修を進めています。
今回のTopicsは、彼らの奮闘ぶりをレポートします。
現在の取組内容
このプログラムは単なる語学留学ではなく、事前研修の段階から参加者が学びを深めるための道具(ツール)として英語を使うことが前提となっています。
しかしながら、初参加の本学にとってはその詳細を理解しながら手探り状態での準備となりますので、引率の先生や英語の指導をサポートをするALTもなかなかご苦労されているようでした。
そんな準備段階の中では、ICTを使って参加者同士の理解を深めるための課題も課せられています。引率の教員はもちろん参加する生徒たちもCANVASというネットワークを介してルームメイトととのコミュニケーションを図ったり、お互いの理解を深めたりすることが求められます。
また、学校や本人紹介のムービー作成の課題もあります。生徒たちはタブレットPCやスマートフォンなどを駆使してイントロダクションビデオを作成し、専用のサイトにアップロードも済ませたそうです。
実際に生徒たちが作成したビデオを見せていただいたり、事前学習の途中でICTのガジェットを操作する姿を見ていると、彼らの情報機器へのリテラシーの高さに感心します。
現地でのプレゼンテーションに向けて
2週間のサマープログラムの中で、毎年設定されたテーマに基づいて世界共通の課題について考え、約2週間ディベートや、ディスカッション、フィールドワーク等を通してさらに深くその課題に対する理解を深めるとともに、そうした活動を一つの契機として、社会変革を引き起こす力のあるリーダーの育成に寄与することがこのSLGIの目標とするところです。
毎年世界各地から高校生が参加しており、昨年2017年は、米国、中国、デンマーク、イギリス、インド、ニュージーランド、韓国、スウェーデン、日本など世界10カ国23の高校、7つの中学校が参加しました。期間中は世界各国の生徒たちと高校の寄宿舎もしくはハワイの寄宿舎で宿泊し、部屋割りも様々な国々の生徒が交流するため、生活面でも多文化も学ぶ機会となります。学習院高等科、ICU高校、慶応高校などの常連校に交じって本校の生徒たちもその中で今年度の研修に臨むことになります。
7月14日から28日の研修に参加する高校チーム(渡辺君、鈴木さん、関さん)3名に与えられたテーマは 「Social Conscience (社会意識)」 です。取材にお邪魔した時には、ちょうど福井の繊維会社へお邪魔したあとで、地元の産業や伝統工業が地域の人口減少や後継者不足の問題で徐々に失われていく現実とその地域に住む若者たちのアイデンティティについて、担当の高橋先生とALTのSisi先生と一緒に英語で考えをまとめていました。
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一方、中学校が参加する期間は高校より少しだけ短く、7月14日から25日にかけて開催されます。
中学校チーム(3年 荒井君、小坂君、北川さん)に与えられた今年度のテーマは、「Working Together for a Sustainable Future (持続可能な社会実現のための協働について)」です。
実際に体験授業などで学んだことのある話題ではあっても、実際には中学生たちが自分の身近な問題としてじっくり考え、討論する機会は日本語でもなかなかありません。そこで、先生と一緒に県内のリサイクル関連企業や、古民家の見学などにも出かけて、体験を通して自分の意見をまとめようとしています。その主張に想いを込めるだけの知識と思索を深めるためには、もう少し時間が欲しいところです。
しかしながら、残された時間はわずかであるため、放課後の事前研修はほぼ毎日行われているようです。見学させていただいた日は、担当の佐藤先生やALTのSisi先生、台湾出身の葉先生、邱先生に考え方、英語表現についての助言を受け、緊張感をもった準備が進められていました。
そこでもらったアドバイスの中で、”Carbon footprint”というキーワードが出てきました。これをみんなの主張の軸にしてはどうかというのです。さて、本番までにどのような主張プレゼンテーションがまとめられるのか、楽しみです。
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おわりに
チャレンジ・・・それは、まずそのステージに立たなければ始まりません。
今回のチャレンジャーである中学生・高校生のみんなは、連日報道される国家間の不仲や偏見から起こる差別や戦争から生じる世界の混乱とは離れ,このプログラムを通じて共通の話題をとことん話し合い、寝食を共にすることで国籍、人種を超えた関係を築く絶好の機会を得ることになるでしょう。
さらには、こうした早い時期から世界的な視野で物事を考えることは、生徒たちに次のアクションへの大きなモチベーションを与えてくれることになると思います。彼らが今やろうとしていることは文科省が次代のための学習指導要領で目指している「主体的で、対話的で、深い学び」そのものですから。時にうまく自分の言葉で表現できないことに悔しい思いをしながらも、準備を続ける彼らのチャレンジに対し、心よりエールを贈ります。
"Yes, you can do it!" (・・・プナポウ学園はオバマ前アメリカ大統領の出身校です)
文責: 金井学園広報 KEI NEWS STAND /
協力: 福井工業大学附属福井高等学校 高橋先生 福井工業大学附属福井中学校 佐藤先生
【参考リンク】
Youtube : SGLI 2016 Student Intro Video
Punahou school website: about SGLI