福井県からの受託研究|2040年 福井県道路の将来ビジョン 紹介リーフレットを学生がデザインしました。
>メディア出演|11月 7日(日) FBC「朝だよ!ハピネスふくい」(テーマ:ふくいを支える公共工事)・1月12日(水) NHK
>新聞掲載 |12月10日(金) 中日新聞 15面 ・ 12月31日(金) 日刊県民福井 5面
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■はじめに|これまでの経緯
福井県内の複数市町にまたがる道路、河川、ダム、海岸、港湾などの公共整備を担う福井県土木部では、令和3年3月、2040年を見据えた道路整備の基本方針となる「将来ビジョン」(※1)というものを策定、公表しています。
道路整備を含む公共事業というと、県の予算のなかの大きな割合を占めているにもかかわらず、これまではハード面の政策ばかりが重視されてきており、その事業規模や完成までの時間の長さ等から、一般の県民の普段の生活の中ではなかなか縁遠いものと感じられるのが正直なところでした。しかしながら、県の将来ビジョンの中で掲げられている現状の道路整備における5つの課題(※2)の中には、わたしたちの生活の基盤となる道路に対する防災、環境、長寿命化、賑わいづくりなど、一般県民が日常生活の中で考えるべき課題が多く含まれています。
そこで、福井県(土木部道路建設課)では、このビジョンを2040年にこの地域を担う若い世代に、もっと身近なこととして感じてもらうことのできるよう、親しみやすい広報周知活動ができないものかと思案しておられました。
そんな折、道路や交通、まちづくりなどを研究し福井県とも交流の深い三寺潤教授を通じて、福井工業大学デザイン学科でデザインを学んでいる学生に対して、イラストレーションを使った紹介リーフレットの制作依頼があり、受託研究というかたちでお受けすることになりました。
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■リーフレットの完成に至るまで
早速、三寺教授が所属するデザイン学科で相談し、メディアデザインを専門としている近藤晶准教授の研究室に所属する葛西朱里(かさいあかり)さん(4年)が卒業研究の一環として取り組むことになりました。
彼女は、100以上にも及ぶ事例研究をもとに、6月初旬に県の担当職員の方々に対し方向性を踏まえた最初のプレゼンテーションを実施しました。リーフレットの形状、色、コンセプトなどの異なる3つの提案の中から選ばれたデザインを、さらに細かく何度もブラッシュアップしていきました。指導した近藤先生や三寺先生には、お盆休みにも連絡が入るほど熱心に取組んでいたそうです。
ー福井県職員の皆さんからの要望に応えることはもちろんですが、頭で考えていたことを実際に形にする段階で、印刷業者の方とやり取りする中で学ぶことも大変多く、大変だったけれどとても勉強になりました。本来は手書きのイラストが得意なのですが、専用のソフトにも随分慣れました。- と葛西さんは話します。
いよいよ完成したリーフレットのタイトルは子供たちにわかりやすいように「みらいのどうろのおはなし」となっています。三つ折りで両開き、上部を丸くカットして、福井の山並みを表現しました。
2040年の福井の道路将来ビジョンの中での挙げられている課題に対する対策としての5つの基本方針を、見開きのイラスト全体を5つのブロックに分け、親しみ易いイラストとフレーズを使って表現しています。本人による説明動画でご覧ください。
【福井県の道路将来ビジョン 5つの基本方針】
1 広域交流の拡大 ~ 広くつながる道づくり
2 産業・観光の活性化 ~ ふくいをみがく道づくり
3 幸福度日本一の生活基盤 ~ ふくいの暮らしを支える道づくり
4 県土強靭化と持続性 ~ 強くてしなやかな道づくり
5 魅力ある道路空間の創出 ~ 居心地のよい道づくり
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(↑出リーフレットの特徴を語る葛西さん)
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■今後の展開について
福井県では、このパンフレットを県内の道の駅や市町の他に、子供たちが集まる図書館、エンゼルランド、商業施設イベント広場などに什器(ラック)を設置して手に取ってもらうことにしており、葛西さんは引き続きその什器(ラック)のデザインの完成を急いでいます。
ー什器(ラック)を設置予定の図書館、エンゼルランド、商業施設は、それぞれ特徴が異なるので、それに合わせてラックのデザインも違うものを考えています。― と葛西さん。その完成も楽しみです。
※県立図書館に什器を設置する際の様子は、12/10(金) 中日新聞 15面に掲載されました。
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【補 注】
※1 福井県道路の将来ビジョン(リンク)
このビジョンは、福井県の掲げた長期ビジョンに沿い
SDGsの実現や福井県が抱えるさまざまな課題を
踏まえて策定された。
※2 現状の道路整備の5つの課題
1)福井県を開く広域道路ネットワークの整備
・中部縦貫⾃動⾞道の県内全線開通・舞鶴若狭⾃動⾞道の全線4⾞線化
2)⾝近な⽣活道路における交通安全の確保
3)気候変動に対応した防災対策・環境と共⽣するみちづくりの推進
・災害に備え⽀援物資等の輸送ルートの確保・公共交通機関を利⽤した移動への転換
・近場の徒歩・⾃転⾞による移動の推進・電気⾃動⾞等の次世代⾃動⾞の普及推進のための基盤整備
・照明等のLED化等
4 道路施設の⽼朽化対策
・橋梁のみならず既存施設を最⼤限に活かし、予防保全補修により道路施設を⻑寿命化
5 多様な主体による道づくり
・道路に求められるニーズが多様化
・県⺠や⺠間事業者と連携し、⼀体となった道づくり
・道路空間を活⽤したイベント等による賑わいづくり
・花植え、みどりのスコップひとかき運動等、
・地域住⺠と⼀緒になって、使い、守っていく中で愛着のある道に育てていく取組を推進
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取材・編集:金井学園広報 KEI NEWS STAND